冗談だとしてもそれしか言えないだろう。
だって新地君は一応親友な訳だし悪魔でも私は彼女だから……。



そんな中途半端な立場の鏡夜は今どんな気持ちだろう。
きっと平然を装ってはいても内心は戸惑っている事だろう。




「ふんっ、最低ね」



夜美ちゃんはつぶやく。



「よ、夜美ちゃん!」





流石に冗談にしては言い過ぎだと思った。





その時一連を見ていた菅原さんの顔色が変わる。
菅原さんは突然私の襟を掴み寄せた。



「きゃあっ!」



「菅原さん?!」
「玲!?」
「菅原!?」




夜美ちゃん、新地君、鏡夜の声が聞こえた。



でも何が起こっているのか分からなかった。



「おい、菅原!」



挨拶用の小型マイクを胸につけながら
こちらの様子をチラチラと気にしてくれていた奏の表情がみるみる変わり、

私と菅原さんを離そうと走ってこちら側に来た。


「貴方の親友さんが貴方の今の彼氏に向かって暴言を吐いているのに貴方はただ見ているだけの傍観者なのね、この偽善者!」




その言葉と共に私の首元にかける手の力は強くなる。




「貴方は知ってるの?今日こんなふうに碧泉が罵られてる事も、今の事だって全部貴方のせいだって事をっ!
いいえ、知らないでしょうね!
みんなから大切に守られて、人に守られる事を当たり前としているようなあんたみたいなお姫様はっ!」




お姫様……?私の……せい?




「菅原ぁっ!やめろっ!」
「玲っ!やめろっ!」




奏と新地君の声が重なる。
菅原さんは私から引き剥がされる。