大也はツバサ君の首根っこを掴むと、グッと顔を近づけた。


この展開は予想していなくて、あたしは内心声を上げて笑っていた。


ツバサ君の口だけのヒーローぶりも、弘江の性格ブスも、大也の暴力も。


全部バレて3人が学校の笑いものになればいいと思っていたけれど、ツバサ君が大也の目の敵になるとは。


「お前しかいねぇだろうが!!」


大也はそう言うと、ツバサ君に激しい頭突きをかました。


ツバサ君はその場に倒れ込み額を押さえてうめき声を上げる。


周囲から悲鳴が上がるものの、誰も先生を呼びに行こうとはしなかった。


ツバサ君がクラス内でどれだけ信用されていない存在なのかが、こういう場面でよくわかる。


「弘江に呼ばれてここに来るのはいつもお前だ! 録画できるのもお前だけだろうが!!」


大也はそう怒鳴り、ツバサ君のお腹を蹴り上げた。


ツバサ君は低いうめき声を上げて涙を浮かべた。