好きでもない異性から触れられるのは確かに苦痛だ。


ドキッとする所か気持ちが悪くて仕方がないと思う。


「カナミはどうやってツバサ君を振りほどいたの?」


「ちょうどその頃から弘江からの連絡が入り始めたみたい。


ツバサ君からすればどんな内容でも女の子から連絡が来るのが嬉しいらしくて、そっちに夢中になってようやく解放されたの」


「そうだったんだ……」


それならまた同じようにツバサ君に連絡を入れる女の子が現れれば、あたしから離れてくれるという事だ。


でも、そんな都合よくあらわれるはずもない。


弘江の場合は大也からの暴力をツバサ君へ向けるために連絡を取っているだけだし、大也との関係はクラスメート全員が知っている。


だからツバサ君がいくら弘江との関係について大きな嘘をついても、誰も信用しないのだ。


あたしの場合は彼氏がいない。


下手をすればツバサ君の言葉を信用する子が出て来るかもしれなかった。


そうなる前に、ツバサ君を止めないといけない。


「なんであたしがツバサ君のせいでため息つかなきゃいけないんだろう」


あたしはそう呟き、ため息を吐いたのだった。