「あの子見て、真面目ちゃんか。」
「休日とか勉強してそー。」
「自己紹介とか『彼氏は勉強です。』って言いそう!」
「確かに確かに!」
ヒソヒソと話しているつもりだろうけど、バッチリ聞こえてくる内緒話。
それは間違いなく私に向けたもので…
周りからの視線が突き刺さった。
女子というのは噂話や悪口が大好きみたい。
「あの子なんでこの学校に来たんだろうね~。」
最後のその言葉には私も同感です。
なんで私この学校に来たんだろう…
そう、それは遡ること1か月前。
入学試験の前日。
「ヤ、ヤバイ…」
止まらないくしゃみに止まらない鼻水。
そしてガンガンする頭。
それはどこからどう見ても風邪だった。
「ど、どうしよう…!
明日入試なのに…!」
熱は計らなかった。
計ってしまったらそれこそ後戻りできない気がして…
「悠莉~、今日は早く寝な…どうしたの?
顔真っ赤じゃない!」
そんなとき丁度入ってきたお母さん。
私の顔を見てビックリ。
急いで体温計を取りに行った。
「ほら、早く熱計りなさい!」

