あっという間に学校へ着いた。

担任の先生は、優しそうな男の須藤(すどう)先生。

「えー。今日から転入してきた河野だ。」

「河野樹音です。よろしくおねがいします。」
私は、軽く挨拶した。

「えー。じゃあ、河野は、矢野の隣な。」

矢野くんは、わたしを手招きしている。

ストン。と、私は、席につく。

「俺、矢野椎名(やのしいな)。よろしくな。」

矢野くんを見て、私は、硬直する。

あまりにも、紫苑に似ていたから。

「紫苑?」私は、声を出してしまってから、ふと気づく。何言ってるんだろうと。