芹沢 ユズキはずっと、不機嫌だった。
何故なら彼女は 気付いてしまったからだ。


「俺が長門 春海に勝てないって……
どういうことですか!!」



「私たちは深い絆で繋がってるの。
だから、入家君がどう足掻いたところで
切ることは出来ないのよ。」


芹沢 ユズキの悲しげな声は
彼を 入家 皐月を遠くに突き離したようだった。
彼女は 決して自分を見せないのだ。

ー彼女に 嘘をつくモノには。
ー彼女に 真実を語らないモノには。


「……なんで、長門さんと 同じことを言うんですか?」



「それは……私たちが何処までもそっくりだから。
入家君たちみたいに……そっくりだから。」




その時、彼は初めて気づくのだ。
モンスターたちの《真実》に。




「私とハル君は……実の兄妹だよ。」