君になりたい

「最近彼が全然優しくないっ!」

雑音でざわざわしている中、私には聴こえてしまった。

同じクラスのエリ
可愛くてスタイルもよくて、頭もいい。中学時代にはバスケ部の部長をやっていたらしい
何より、彼女には彼氏がいる


そんな彼女を目で追ってしまう


地味で目立たない私にとって彼女は神様みたいな存在

エリの彼氏の名前を知ったのはつい先日
女子トイレで話す噂話で知った

彼の名前は、カズ君だった
衝撃だった

告白なんて、する気はない
立ち向かう勇気もなんてない

エリはやっぱり凄い
私には、できないことを沢山もっている

羨ましい羨ましい
「…ずるい」

言ってしまった。きっとこれが本音


地味で目立たないのに更に惨めになる


こんな私は嫌だ
変わろう。エリではなく私は私だ。

いつか誰かに憧れられる存在に。