秘め恋*story8~別荘で…~





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「わぁ、初上陸、島根。」



「みふゆちゃん、ハートがいっぱいあるよ。」



「ほんとだねぇ。さすが、ご縁の国島根。」




とうとう姪っ子との島根旅行にやって来た。


4歳の美紅にはハートとかピンクな感じが嬉しいらしい。


隣でキョロキョロと辺りを見渡しては、目をキラキラさせている。


一緒に来て良かった。




「あ、西藤か?」




美紅と手を繋いで空港を出たところで声を掛けられて振り向いた。




「え、高井先輩っ?」



「おう。久しぶりだな。」




待っていたのは、何年ぶりかに会う大学時代の先輩。



話しやすい人柄で男女問わず人気のあった高井先輩。



久しぶりに会った先輩は、変わらず人懐っこい笑顔で迎えてくれた。




「わぁ、高井先輩。何かすごい地元の人って感じで馴染んでるー。」



「ばーか、元々地元だよ。」



「え、先輩島根出身だったんですか!?」



「まぁな。こんな松江とか出雲みたいな都会じゃないけどな。」




知らなかったなぁ。
そりゃ、馴染んでてもおかしくないか。



なんて久々の再会に話が弾んでいると、スカートの裾をつんつん。




「あ、ごめんね、美紅。」



「このおじさん、だれ?」



「ぷっΣΣΣ」




思わず吹き出してしまうと、先輩は苦笑いで美紅の目線に合わせて屈んだ。




「おじさんはね、おばちゃんのお友達。
高井っていうから、仲良くしような。」



「うん!」




わざと私をおばちゃんと呼んで美紅と仲良くなろうとする先輩を軽く睨む。



それから、先輩は色々な観光名所を車で回ってくれた。



もちろん、有名どころの出雲大社や国宝に指定されたという噂の松江城から、遊覧船まで乗せてくれた。



美紅はどこへ行ってもおおはしゃぎで楽しそうだった。



良かった、一緒に来れて。