秘め恋*story8~別荘で…~





私は恐る恐る先輩に尋ねた。


そして先輩はちょっと照れたような顔で




「いや、実は…」




先輩の話によると、私の着信に気づいてかけ直したけど電話にでない私を心配に思い、夜中このコテージに様子を見に来てみたらしい。




「いやぁ、無駄足だったわ。停電しとるに、えらい仲良うしとるけん。」




そう茶化すように笑っていった先輩は、
“影響されて俺も家帰ったら嫁さんと頑張ってしまったわ。”と要らぬ報告までしてくれた。



最悪よ。
まさか先輩が昨日、ここに来たなんて…



それから私は暫く、2階の部屋へ閉じこもったのだった。




ーーーーーー………




「美紅、お土産見に行こーや。」



「うん♪おっちゃん、抱っこー。」



「よし!お兄ちゃんが抱っこしちゃーわ。」




結局、高井先輩は美紅にずっとおっちゃん呼びされたままだった。


帰ったら菜見子に教えてあげなきゃね。
大爆笑だわ、きっと。



そう。今日は私と美紅が東京に帰る日。



空港まで見送りに来てくれた高井先輩。
そして…




「台風で散々だったな、旅行。」



「はい。でも、いい思い出になりました。」




あなたとの思い出も。
島根にきて、そういう縁に出逢ったってことで。




「・・・」




沈黙が流れる。





「忘れーなよ。」



「え?」




その沈黙を破った彼は、




「花嫁修業。」



「え、それって…」




聞き返した私の鼻を軽くつまんだ彼は、意地悪な笑みで…





「俺んとこに嫁、来るんだろ?」





嫌とは言わない私の心が分かってるのか、
彼はもう決めたとばかりに言いきった。





「私、子どもと田んぼとか入るの夢なの。」



「俺の実家、田んぼやっとるから安心しろ。」



二人で笑い合った。

そして、軽く触れるだけのキスをした。




東京から遠く離れた、ご縁の国島根で…
素敵な出逢いが私に巡ってきた。







*end*