バタン!
 家に帰って急いで部屋のドアを閉める。
 ドキドキ・・・・・・!
 『友達追加したよ。よろしくね』
 そう送るのに何分かけたことか。
 まだ既読はつかない。そうだ、かりんが既読をすぐつけるなって言ってたな。1分待って、それから返信しよっと。
 ・・・・・・ピロリン♪
 キターーー!!!
 1分待って。1分待つのよ!
 60秒数えたけど、もしかしたら40秒だったかもしれない。
 『よろしく』
 ほんの一言だったけどすごくうれしかった。草野からの始めてのライン。会話を終わらせちゃいけない。何か話題を作らなきゃ。
 『草野は、彼女いるのに私とラインしてていいの? 秘密にはするけど・・・・・・』
『いいよ。斉藤は特別』
 こ・・・・・・これは夢じゃないよね? 草野と会話してる上に特別って!
 『特別って・・・・・・笑』
『ホントだよ。彼女と斉藤以外女子で友達なのいないし』
『本当? 嬉しい///』
『俺、モテないから。ID聞いてくれる女子なんて桃野と斉藤以外いない』
 あれ? なんか私が草野の事好きなのバレてるみたい。そんな感じだけど、草野は思ったより鈍感だから多分気づいていないんだろうな。
 『草野はモテるよ。だって桃野さんから告られたんでしょ』
『そうだけど。桃野の事恋愛対象で見たことなかったんだよな。急に告白されてびっくりした』
『そうなんだ。あのさ、草野のこと翔って呼んでいい? 私のことも紅って呼んでいいから。』
『分かった。紅、ね』
『でさ、翔、ちょっと聞いていい?』
『なに? さっそく翔って呼んできたね(笑)』
『翔は桃野さんの事好きなの?』
 こんなの、「私は翔の事好き。桃野さんなんていなくなればいい。翔は桃野さんの事好きなの?」って言ってるようなもんじゃん。後半は本当に言ってるけどさ。 
 『あんまり好きじゃないかも。これから好きになっていくんだよ』
『そうだよね。』
 やっぱ草野、じゃなくて翔には彼女がいるんだ。そのことを忘れるな、紅!