招待客の間をにこやかに歩き回る主役の2人を眺めながら、あたしも今日感じたことを溜息混じりに口にした。
「ひろさん、いつもあんな風なら素敵なのに・・・」
今日は終始穏やかに微笑んでいた上に、ファーストバイトなんて絶対拒否しそうなことまでやってのけた紘明さん。
それを聞いたかずくんは楽しそうに肩を揺らした。
「あぁ、あの人、外では常にあんなだよ?だから結構モテるし、仕事もできる。で、気に入ってるヤツにしか本性見せない。・・・まゆのことはかなり気に入ってたからなぁ、意地悪も半端なかったよなぁ。」
「えぇっ!?そうなの?」
ちっとも知らなかった。びっくりだ。
けど、あたしにも心を許してくれていたと知ると、ちょっと嬉しい気もする。
「まゆりちゃんっ!相澤っ!」
都和さんがふわりふわりとスカートを揺らしながらこちらへ向かってくる。
そのすぐ後ろを歩く紘明さんは呆れ顔。
「都和、いい加減、和明の呼び方なんとかしろよ。おまえも“相澤”になったんだぞ?」
紘明さんを振り返って肩を竦めた都和さんが、困り切った顔であたしに言う。
「そうなんだけどね。まゆりちゃん、イヤじゃない?私が相澤のこと名前で呼ぶの。」
「えっと・・・もしかして、都和さん、あたしが“ひろさん”って呼んでるのイヤでした?」
ちょっと考えて逆に聞いてみると、都和さんは真顔であたしを見つめた。
「・・・そうね、まゆりちゃんが呼ぶのは全然イヤじゃないわ。」
「よかった。あたしも、都和さんがかずくんをどう呼ぶことになっても気にしませんよ?かずくん、都和さんの義弟になったわけですし。」
ニコッと笑うと、都和さんはホッと息を吐いて微笑んだ。

