季節は巡ってあっという間に夏も終わった。
今年は梅雨入りが早くて、暑い夏が長かった気がする。
今は10月に入ったというのに、相変わらず気温は高めだ。

あれからあたしとかずくんは順調にお付き合いを続けている。
かずくんの夏休みに合わせて一泊旅行もした。もちろん2人きりで。パパは許してくれたのに、出掛けるその朝まで不機嫌だったのにはちょっとまいったけど。
時々、都和さんと2人で会って女同士の話をすることも増えた。姉ができたみたいで、ものすごく楽しい。かずくんにはなんだか不評だけど。
パパとかずくん、なんだか似ている気がする・・・


今日は紘明さんと都和さんの結婚式。

会場はあたしの誕生日に連れてきてもらった可愛らしいイタリアンレストラン。
あの時はわからなかったけど、お店の奥には広いお庭が広がっていて、今日はそこでのガーデンウェディング。
青空とお庭の緑、飾られた色とりどりの花が綺麗。

会場の入り口に置かれたウェルカムボードの横に、紘明さんと都和さん、それぞれの写真がたくさん貼られているものがあった。
子どもの頃から、つい最近のものまで。
あたしはその中に、制服姿で笑う都和さんを見つけた。

「ねぇ、かずくん、この写真ってもしかして、かずくんの部屋のアルバムの中にあった?」

指さす写真を見ると「あぁ、」と頷く。

「まゆ、あのアルバム見たのか。青木、あちこち連絡して写真集めたって言ってたな。・・・お、主役の登場だ。」

かずくんの言葉に会場を見渡すと、オーガンジーが重ねられたエンパイアドレスの都和さんと、光沢のあるグレーのタキシード姿の紘明さんが庭に出て行く姿を見つけた。もともと美男美女だけど、今日はその美しさも倍増で思わずうっとり見惚れてしまう。

「いいなぁ。都和さん素敵ー。」

「だなぁ・・・中身はガサツだけどなぁ・・・」

隣で笑うかずくんも、今日はきっちりスーツでこちらもまた見惚れてしまう。

「そんなこと言ってると、怒られるよ?お義姉さんになったんだから。」

「それを言うな・・・」

大学からの友人で、同じ職場で同期として働いていた都和さんが、紘明さんと結婚して家族になるというのが、頭で理解しても納得できないと、かずくんはここのところいつもぼやいていた。
今も、眉間にしわを寄せ溜息を吐いて項垂れる姿に笑ってしまう。