えっ?と体を仰け反らせて距離を取ろうとしたけど、既に頭の後ろに回されていた手はそれを許してくれなかった。それどころか逆にかずくんが近づいてきて、今にも唇が触れあいそうな所まで距離は縮まっている。

「ほら。」

言葉と一緒に吐き出される息が唇を掠める。
艶っぽく見下ろすその目は反則・・・あたしだって、触れたいって思ってる。

「目、瞑って・・・くれる?」

「ん。」

静かに伏せられていく目が完全に閉じたのを見て、あたしも目を閉じて、震える唇を重ねた。

心の中で3つ数えたところで離れようとしたら、唇が離れる前に、今度はかずくんに押し倒された。右手が肩から脇に滑り落ちる頃、薄く開いた唇から舌が割り入ってきて、その手が腰を抱くとあたしの舌を捕らえた。チュッと吸われゆっくりと離れていく。
それが名残惜しくて、思わず「あっ」と目が追う。続きを期待する体は勝手に熱を帯びていく。

「足らない?」

欲に濡れる瞳で問われ、熱に浮かされるまま頷く。

頷いたあたしが予想外だったらしいかずくんは、困ったように微笑むと優しくあたしを抱きしめた。


「・・・あぁ、やっと全部手に入れた。真悠莉、もう離さない。」

「うん。」

かずくんが深い息を吐いてあたしを抱きしめる腕に力を入れた。あたしもかずくんの背中に手を回して、抱きしめる。





なんて幸せなんだろう・・・幸せってどんどん更新されて増えていくものだと知った。