向き合う形にはなったけど、とても顔は見られない。かといって目線をおろせば、逞しい胸が目の前にあって否でも昨夜のことを思い出してしまう。ギュッと瞑った目が開けられない。
「まゆ。」
布団の外に出ていた腕が戻ってきて、あたしの顎を捉えて上向かせる。薄く目を開けるとギシッと音を立てて上半身を少し起こしたかずくんが、その目元に唇を寄せた。
離れていく唇を追うように目を開ければ、すぐ目の前に優しい笑顔。
「おはよう。・・・やっと顔が見れた。」
「お・・・はよ。」
かずくんの右手はまだあたしの顎の下にあって、俯くことを許さない。そして、少し不安そうにさっきの質問を繰り返した。
「気に入ってくれた?」
「うん。ありがとう。」
あたしが、ゆっくりはっきり喜びを口にすると、彼の右手は頬から頭の方へ滑るように移動し、後頭部で止まった。
「よかった。・・・ひとつ、わがまま言っていいか?」
なに?と首を傾げると、ニッと口角を上げて言った。
「まゆから、キス してくれないか?」

