「・・・そんなの・・・っ!」
何か呟いたかずくんの手が肩に触れたと思ったら、ギシッとソファが鳴った。次の瞬間あたしの体は反転させられた上にソファに倒されていて、驚く間もなくキスが降ってきた。
でもそれは、いつもの優しい、触れるだけのキスじゃなくて。
あたしの知らない、深い、大人のキス。
突然のそれはあっという間にあたしを飲み込んで翻弄する。
呼吸も理性もなにもかも奪われて、ただただ与えられる感触に溺れていく。
囲い込んでいた腕があたしの体を包み込むと、一気に体温が上がるのを感じた。
頭の中は靄が掛かったようにかすみ、ふわふわと心許ない。
「っはぁ・・・・・・ずっと我慢してたに決まってるだろ・・・二十歳になるまではって、約束させられてたし・・・」
切なげに揺れる瞳で見つめられて、さらに体が熱くなる。
不意に得体の知れない不安と羞恥心が沸き上がってきて、助けを求めるように伸ばした左手は彼の右手に一瞬にして絡め取られた。キュッと握られ、再び長いキスに溺れさせられる。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
静かな部屋にはあたしの荒い呼吸音しか聞こえない。
そんなあたしを、かずくんは艶っぽく見下ろしている。そんな風に見下ろされるのは恥ずかしくて仕方ないけど、あたしは体に力が入らずくたりと横たわったまま顔を背けるのもままならない。
「わるい。ちょっとがっついた。」
発せられた言葉とは裏腹に、口元に浮かべる笑みはぞくりとするほど色っぽい。漸く整った呼吸の合間に、あたしはほぅと溜息を吐いた。
「そういう顔するなよ・・・優しく、できなくなる・・・」
ソファから立ち上がると、あたしを抱きかかえ寝室の扉を開けた。

