かずくんは黙っているから、酔いに任せてかまわず続ける。ここで言い淀んだらもう後が続かない気がするから。
「あたし、青木さんとかずくんが一緒に家に入っていくところ見ちゃって。その時はあの人が青木さんで、ひろさんの婚約者だなんて知らなかったから、あたしはかずくんの一番じゃないのかなって・・・でも、聞いて「そうだ」って言われたらどうしようって恐くて聞けなくて。1人もやもやしてて・・・それで・・・」
かずくんはあたしの手からグラスを取り去ってテーブルに置くと、勢いよくあたしの体を引き寄せた。あっという間にあたしの体はかずくんの腕の中に収まって、顔が胸に押しつけられる。
「よかった・・・オレ、嫌われたのかって不安だったんだ。」
安堵の溜息が降ってきて、少し早い鼓動が熱い頬に伝わってくる。
「うそ・・・」
伺うように顔を上げれば、「見るな」と言わんばかりに胸へと戻された。
「嘘なもんか。やっとまゆの気持ちを手に入れられたのにって不安で仕方なくて。うっかり兄貴たちに相談するくらいに、な。・・・ちなみに、青木と一緒に家に帰ったのは、兄貴に頼まれて、代わりに迎えに行かされただけだ。」
「ごめん、勝手に勘違いして。」
腕の中でもごもごと謝る。
「まゆの気持ちが離れてなかったから、もういい。オレこそ、食事を邪魔されて悪かったな。オレが兄貴たちに相談したばっかりに・・・」
かずくんはあたしの髪を撫でながら、申し訳なさそうに謝るけど・・・
「あたしは、青木さんに会えてよかった。本当のことがわかったし。」
「そうか?」
「うん。」

