日曜日の早朝。
隣の家が騒がしい。
なんなの?と寝惚け眼でカーテンを開け見下ろした。

お兄ちゃんがなにやら段ボールを車に積み込み、また家の中に戻っていく。
そして段ボールをもう一つ。

え?なにしてんの?
あたしは慌てて窓を開けて、お兄ちゃんに声を掛けた。
日曜日の早朝にしてはちょっと大きすぎる音量で。

「お兄ちゃん、おはよー!ねえ!なにしてんのー?」

お兄ちゃんは、突然の声に驚いたように立ち止まり、ロボットのような不自然な動きであたしを見上げる。

「あー、見つかったか・・・」

お兄ちゃんは何やら言っているけど、声が小さくて聞こえない。

「ねぇ、なにしてんのー?」

「・・・・・・引っ越し。」

「え?なに?聞こえない。」

お兄ちゃんは持っていた段ボールを下に置くと、ちょいちょいと手招きする。
降りて来いってこと?
あたしまだパジャマだけど・・・まぁ、いいか。
カーディガンを羽織って下に降りる。
パパもママもまだ起きていないようで、カーテンが引かれたままのリビングはまだ薄暗くて肌寒い。
裸足にスニーカーを引っかけて外へ出ると、うちの前にお兄ちゃんが立っていた。

「お兄ちゃん、おはよ。で、なにしてるの?」

「おはよ。・・・あー・・・ひ、引っ越し?」

「・・・はぁ!?」