手を繋いで、ゆっくりと公園を歩く。
青い空の下で咲き誇る花々は本当に鮮やかで、時折風で揺れる姿も美しい。
穏やかな時間だ。
繋いだ手から見上げていけば、大好きな笑顔があった。
その笑顔は少し先の方を見ている。
何を見ているんだろうと視線の先を追うと、花の間を走り回る小さな子どもたちがいた。
「可愛いね。」
「あぁ。まゆが小さい頃を思い出すよ。」
目を細めて微笑む彼は、本当に昔のことを思いだしているらしい。
「・・・なんかやだなぁ、それ。」
昔のことを知られている照れくささと、今の自分を見て欲しいのにと、複雑な気持ち。
「仕方ないだろ?」
かずくんは顔を顰めるあたしを見て笑うと、繋いだ手に力を込めて続ける。
「オレは今でも昨日のことのように思い出せるよ、まゆと初めて会った日のこと。2人と約束したんだ、“守る”って。」
「2人って、パパとママ?」
「そう。あの時と今ではちょっと意味合いが違うけど、それでも“まゆを守る”っていう気持ちは変わってない。」
あたしの知らないところでそんな約束がされていたなんて驚きで、そんな昔の約束をずっと守ってくれているかずくんには尊敬と感謝しかない。
心の底でもやもやと渦巻くものをすぐに消すことはできないけれど、やっぱりあたしはこの人が大好きでどうしようもないんだ。
信じよう。
自分の気持ちがはっきりして、溢れる気持ちが抑えられなくなって、あたしの右手を繋ぐかずくんの左腕に思い切り抱きついた。
「大好き。」
「オレも。」
一瞬驚いた顔を見せたかずくんは、すぐに笑顔になっておでこにキスをくれた。

