「おめでとう。とうとうハタチかぁ。」
あたしの誕生日。
笑顔の両親が祝ってくれた。
20歳の誕生日はあたしにはもちろん、両親にとっても特別なものらしい。
「ありがとう。」
あたしも笑顔で返すけど、2人はそろって困ったような表情を浮かべる。
2人にはなんでもお見通しなのだ。
それでもあたしが頼るまでは静かに見守っていてくれる。
今週はまだ一度もかずくんに会っていないし、電話もしていない。
唯一届くメールにも素っ気ない返事しかしていない。
聞けばいいのに。
わかっているけどそれができないのだ。
信じたいのに不安で。
「明日はカズの所へ行くんだろう?」
あたしの様子次第ではすぐにでもかずくんの所へ行きそうな目でパパがあたしを見るから、あたしは無理矢理明るく返事をする。
「もちろん。楽しみにしとけって言われてるしね。」
今日に日付が変わった途端、かずくんからバースデーメールが届いた。
仕事で今日会えないことをとても残念がっていた。その代わり、明日お祝いするからと。仕事終わりに迎えに行くとも。
直接会うのは2週間ぶりなのだから、楽しみにしているのも嘘じゃない。それでもやっぱりどこか不安なのも事実。
「大丈夫よ、まゆ。」
ママが珍しく強い口調であたしに言う。
本当にママには敵わない。
「たくさんお祝いしてもらってね。」
「うん。そうだね。」
大丈夫。大丈夫。大丈夫。
不安に押しつぶされそうな自分に何度も何度も言い聞かせながら誕生日の夜が過ぎていった。

