家族旅行は楽しかったけど、もう一緒に行くのはやめようと思った。
子育ては終わったとばかりにパパはママにべったりで、そんな2人の姿を見せられるのは嬉しいような恥ずかしいような、とにかく居たたまれない気分になる場面ばかりだった。
今回はママがどうしても!と言うから行ったけど、次は2人でのんびり行ってきてもらおう。そうしよう。
お兄ちゃんへのお土産は、お菓子と古布で作られたストラップにした。ストラップは色違いでお揃いにして、1つは既にあたしが使っている。
連休が終わった第二日曜日、ママとパパはまたデートに出掛けていった。
あたしは母の日のプレゼントとして、ママに代わって家事をしている。
2階のベランダにやっと洗濯物を干し終え、空になったかごを抱えて部屋へ入ろうとすると、お隣の駐車場に車が止まる音がして、続いて聞こえてきたのはかずくんの声だった。
あ、ちょうどいいからお土産を渡しに行こう。
1週間ぶりの再会に頬を緩ませたとき、もう1人車から降りるのが見えた。
助手席から降りてきたのは、長い黒髪の女の人。
腕の中にはカーネーションのアレンジ。
顔はハッキリ見えなかったけど、綺麗に引かれた口紅の色がやけに印象的で、かずくんを追うその後ろ姿から目が離せない。2人が家の中に入るのを見届けてしまった。
心臓の音がやけに大きく感じる。
でもこれは、かずくんに与えられる甘いドキドキじゃない。
あれはいったい誰なの?
かずくんとどういう関係?
あたしより、大事な・・・人?
考えても考えても答えは出るはずもなく。
あたしは見たものを忘れるべく、掃除に没頭して一日を終えた。

