「うーん・・・ちょっとね。まぁ、それも今に始まったことじゃないんだけど、今回はいつもより面倒な感じなんだよね・・・」
一人言のように呟くさおりが何のことを言っているのかわからないけど、2人の間には何かあったらしい。
微かに首を傾げてさおりを見ると、さおりも曖昧な表情を浮かべる。
「ま、私たちのことはいいとして。で、まゆはどこまでいったの?」
ストローでグラスの氷をつつきながら、ニヤリと笑う。
は?どこまでって?
「デートはしてるよね?お泊まりは?」
デートは・・・してる。週末にあわせて出掛けたときには、かずくんの部屋に泊まることも、ある。
「うん、・・・たまに。」
「じゃぁ、もう済ませちゃった?」
なにを?
どうも今日はさおりの言いたいことがよく分からない。
「やだなぁ、まゆはほんとに初心なんだからぁ・・・」
眉根を寄せて首を傾げるあたしをみて、さおりも眉根を寄せて、でも笑った。
「だからぁ、まゆの“初めて”はもうあげちゃった?・・・あ、それとも彼氏さんの前に経験済み、ってことはないよねぇ、まゆだもんねぇ・・・」
「え?はぁ?や、あ、やめてよー・・・げほっげほっ・・・」
やっとわかって、それと同時に羞恥心でパニックだ。
慌てて掴んで吸い込んだジュースに咽せるあたしに、おしぼりを差し出しながらさおりは「やっぱりか」と笑った。