リビングのソファではパパと明おじさんがビール片手にご機嫌な様子。
キッチンではママと洋子おばさんがはしゃいでいる。

えっと・・・これは・・・?

「まゆ、おかえり。」

そう言って笑うパパはいつも通りで、怒っている風ではないけど。
それが余計に不安にさせる。

「・・・パパ、お仕事は?」

「昨日の代休。」

そうなんだ。

「やぁ、まゆちゃん。久しぶりにみんなで集まろうって言われてね、早く帰って来ちゃったよ~。」

明おじさん、この時間にここにいるってことは、午後は仕事してないんじゃ・・・?
しかも既にほろ酔い気味?

「和明も飲めば?今日は泊まって行くでしょ?」

洋子おばさんが缶ビールをかずくんに手渡そうとしたけど、かずくんはそれを制する。

「やだよ。オレ、明日泊まりだから、今日中に帰る。」

「つまんない子ねぇ。」

洋子おばさんは眉間にしわを寄せてかずくんを睨んだけど、「じゃぁ」と自分でビールを開けて一口飲むと、それを持ったままキッチンへ戻っていった。

あたしも手伝わないと、とは思ったけど、ベテラン組はどんどん料理を仕上げていく。
ママがご機嫌で飾り付けたツリーはキラキラと電飾を光らせ、ダイニングテーブルの上にも続き間のリビングのソファテーブルの上にもあっという間にたくさんの飲物と料理が並んだ。

クリスマスパーティの始まり。