「あれー?って自分の気持ちに戸惑っているうちに、まゆはどんどんキレイになるし、あぁこれはそういうことなんだって認めたら、今度は苦しくってさ・・・。ほら、鈍感まゆはオレのこと“お兄ちゃん”としか思ってないから。」
はぁ・・・かずくんは、あの頃を思い出したのか苦しそうに息をついた。
「って、オレ、なに恥ずかしいこと暴露してんだろ・・・もう、やめていい?」
「全部、ききたい。」
振り返るととっさに目を逸らしたかずくんは片手で顔を隠しているけど、その頬はうっすら赤く染められていて。
ちょっと可愛い、と思ってしまったあたしはもう一度お願いしてみる。
「全部、教えて?」
かずくんは眉尻を下げて「えー」と不満げな声を上げた。
期待の目を向けてかずくんを見つめれば、さすがに面と向かっては無理、とあたしの体の向きを元に戻して、あたしを再び後ろから抱きしめた。
「・・・まぁ、とにかく。オレはずっとまゆのことが好きだったわけですよ。まゆ以外の誰の目にも明らかなほど、態度バレバレで。」
え?
「誰からも頭ごなしに反対はされなかったけど、お姫様を大事に思う王様に、一時的でいいから距離を置けと命じられた。それが、あの引っ越しな。」
えぇ?
「ついでに言うと、今年ここに引っ越してきたのは、異動を口実に少しでもまゆの生活圏内にいたかったから、なんだけど・・・これってストーカーっぽいな?やばいじゃん、オレ・・・」
背中に感じる苦笑い。
「で、結果的にはこうなればいいって、みんな思ってたみたいでさ。あの人たちはあの人たちで色々画策してくれて、そのおかげもあってか、まゆは今、オレの腕の中にいる、と。そういうこと。」
最後に「あー、恥ずかしい」と、額をあたしの肩口に押しつけ照れるかずくん。
あたしは話の途中で何度も振り返ろうとしたけど、その度にかずくんはそれを阻止した。
かずくんが随分前からあたしのことを想っていてくれたこと。は、よくわかったけど。
よくわからないこともあって、考え込んでしまう。

