顔を洗って、昨日食べ損ねたケーキを朝ご飯代わりにして、家を出てから丸一日が経過する頃、あたしは意を決して家に電話して、案の定パパに叱られた・・・。
あたしが悪いことはよく分かっているけど、やっぱり落ち込む。

「うぅ・・・」

項垂れるあたしを後ろから抱きかかえるようにソファに座るかずくんは、「ごめんな」と肩口に顎を乗せてきた。

「オレが悪いんだから、まゆはもう気にするな。ちゃんと一緒に帰って、滉志さんにはもう一度説明するし。な?」

「・・・うん。ありがと。」

でもやっぱり落ち込むし、帰るのが怖い。
全然浮上しないあたしに、かずくんは回した腕を緩めて手を握って指を絡める。

「まゆ、眠ったまゆを連れて帰ろうと思えば帰れたんだぜ?オレ、飲んでなかったし。でも、そうしなかったのは、もちろん、オレが一緒にいたかったのもあるけど・・・無理に連れ帰らなくていいって言ってくれたんだよ、滉志さんが。」

えぇっ!?
パパ、ものすごく怒っていたのに?

信じられない名前に振り返れば、かずくんは優しく笑って続ける。

「滉志さんは、オレのこともずっと見ててくれたからな・・・長い片思いが終わって良かったなって言ってくれたよ。」

かずくんは照れたように笑って、あたしを痛いくらいに抱きしめた。

「ま、ちょっと予定より早かったけど。」