カーテンの隙間から入り込む光で朝だと分かったけど、まだ目を開けたくない。
顔を掠める空気が冷たくて、暖かい場所を求めて無意識に擦り寄った。
「・・・おはよ。」
抱き寄せる腕に驚いて目を開けると、そこはベッドの中で、隣にはかずくんがいて、抱き寄せた腕は当然かずくんのものだった。
あれ?あたし、いつの間にベッド・・・?
っていうか、ここって・・・?
「まゆ、呼んで?」
ふわりと微笑むかずくんが昨日と同じことを言う。
そんなかずくんと目が合って、束の間、今さっき湧いた疑問を忘れる。
「・・・・・・・かず・・・くん」
まだ慣れない呼び方に照れながらも、求められた言葉を返すと、かずくんは満足そうに笑ってキスをくれた。
啄むような優しい口づけ。
幸せと恥ずかしさに布団で顔を隠した途端、あたしはそれを思い出して飛び起きた。
「どうしよう・・・無断外泊!」
かずくんと出掛けると言って出てきたものの、パパもママも帰らないとは思っていなかっただろう。
まだ横になったままのかずくんを見遣ると、大丈夫大丈夫と布団の中へ引き戻された。
「大丈夫じゃないよ。どうしよう・・・」
帰ったら絶対怒られる!パニックになりかけていると、かずくんはあたしを抱きしめながら
「昨日のうちにオレが怒られておいたから、心配するな。」
と、なんでもない風に言った。
「え?」
「あ。でも、泣かしたことは内緒にしておいてな?滉志さん、マジ怖いから。」
びっくりして瞬きするあたしに、かずくんはもう一言付け加えてニヤリと笑った。