「初めてついでに、“お兄ちゃん”も本当に卒業させてもらおうかな。」
お兄ちゃんの言葉に、え?と顔を上げると、お兄ちゃんは意地悪そうな笑みを浮かべて言った。
「はい、呼んで?」
呼ぶ?
「お兄ちゃん?」
「違うでしょ・・・?」
首を傾げるあたしにお兄ちゃんはヒントをくれる。
「真悠莉さん、オレの名前は?」
「相澤、和明・・・?」
「うん。だから・・・呼んで?」
あぁ!
お兄ちゃんの言っている意味を漸く理解して、あたしは恥ずかしさに顔が熱くなる。
「・・・・・・・」
「それとも・・・まゆは、悪いことしてる気分になりたい?そういうのが趣味?」
意地悪そうに笑う口元。そこに艶っぽく揺れる瞳を足すなんて、恋愛初心者のあたしには刺激が強すぎる。
ダメダメ、と目を逸らして首を振ると、お兄ちゃんの長い指があたしのあごを捉えてくいっと上を向かせる。
「じゃぁ、呼んで。」
真っ直ぐ目を覗き込まれて、希望じゃなく強制の雰囲気をまとわせた口調。
「・・・か・・・ず、くん」
やっとの思いで絞り出した声は今にも消えそうなくらい小さかったけど、これで許してくれるだろうか・・・?
不安を隠せず見つめ返せば、お兄ちゃんは小さく笑った。
「あは・・・オレ、幸せでおかしくなりそう。」
そう言ってお兄ちゃんは二度目のキスをした。

