次から次へと零れ落ちる涙。
それを見て途端に慌てるお兄ちゃん。
「えっ?いやっ、なんで?まゆ、泣かないで!オレ、もう泣かさないって約束させられてるんだから!な?・・・まゆー・・・」
くるりとあたしの向きを変え、正面に立ったお兄ちゃんは腰を屈め、零れる涙を拭ってくれるものの、涙はいっこうに止まらず・・・お兄ちゃんを困らせたいわけじゃないあたしも、止まらない涙に戸惑ってしまう。
「ご、ごめん・・・なんか、信じられなくて・・・胸がいっぱい・・・」
「あー、オレも泣かせたかったわけじゃないんだよ・・・もうっ・・・ごめんなっ!」
肩に置かれていたお兄ちゃんの両手が、あたしの後頭部と背中に移動して。
お兄ちゃんの顔が近づいてきたと思ったら、あたしの視界はお兄ちゃんでいっぱいになって。
唇に初めての感触・・・
え?
えぇっ?
えぇぇぇぇ--------!?
お兄ちゃんの薄い唇があたしのそれにしっとりと重ねられている。閉じられた瞳に揺れる睫毛は思いの外長くて美しい。
初めてなのに目を閉じる暇もなく、ただただ強張る体。気付けば呼吸すらしていないあたしがいた。
名残惜しそうに唇を離してあたしを見つめるお兄ちゃんは知らない人みたい。
「お、おに、おにぃ・・・」
「ダメ。」
慌てるあたしの唇にお兄ちゃんは人差し指をあて遮ると、艶っぽく揺れる瞳でこう続けた。
「まゆ、こういうことするときに“それ”はやめて。・・・悪いことしてる気分になる。」

