「まゆ。」
呼ばれて目を開けると、お兄ちゃんの手にはあの真っ赤なリボンの掛かった細長い箱。
お兄ちゃんがあたしじゃない“女の子”に選んだもの。
どうしてそれがあたしの目の前にあるの?
「まゆ、“妹”やめて、・・・オレのこと、一人の男、として見てくれないか・・・?」
「・・・え?」
お兄ちゃんの言っていることが理解できない。
けど、お兄ちゃんの目が、言葉が、胸を苦しくさせる。
あたしを伺うように覗き込むお兄ちゃんの目は優しくて、無言で見つめるあたしの手にあの箱を握らせるともう一度言った。
「真悠莉、オレの恋人になって?」
「・・・う、そ・・・」
信じられない言葉にすっかりパニックになっていて。
きっとこれはあたしの願望が招いた夢だと、目を閉じて頭を振った。
でも、お兄ちゃんが真剣なのは分かった。
あたしのことを「まゆ」ではなく「真悠莉」と呼んだから。
そう。
お兄ちゃんは大事なときは必ず・・・。
「真悠莉は、ずっと妹の方がいい?・・・オレは、もうお兄ちゃんじゃ・・・イヤなんだ・・・」
お兄ちゃんはあたしの手をギュッと握って聞いた。
「・・・あたしは・・・」
「うん、真悠莉は?」
「あたしは・・・・・・あたしも・・・もう、妹じゃ、いや・・・」
胸が苦しすぎて、声が震えた。
「お兄ちゃんが・・・好き。」
掠れる声でそう伝えた途端、お兄ちゃんはあたしを引き寄せ抱きしめた。
ぎゅうっと抱きしめながらも肩の力を抜き、「よかった・・・」と安堵の息をついた。

