うつらふお姫様とちひさき約束


「まゆ、大丈夫か?」

不意に声を掛けられて顔を上げると、心配そうにあたしを覗き込むお兄ちゃんの顔があった。その手には小さなショップバッグ。真っ赤なリボンが掛けられた細長い箱がのぞいている。

「・・・大丈夫、だよ?」

あぁ、やっぱり好き。
失恋しちゃったけど、あたし、お兄ちゃんのことが大好き。

・・・今日だけ。
今だけ、いいよね?
最後に思い出、ちょうだい?

「ちょっと疲れただけ。もう大丈夫だから。」

無理矢理口角を上げて笑うあたしの頭を、お兄ちゃんは困ったように優しく撫でた。

「ねぇ、夜はお兄ちゃんの部屋で一緒に食べよう?デリでたくさん買って。あ、ケーキもね!」

「・・・りょーかい。」

今度はあたしからお兄ちゃんの手を取った。
ぎゅっと握ったら、お兄ちゃんも握り返してくれた。

なにも考えない。
今だけ、でいいから。
お兄ちゃんはあたしのもの。