うつらふお姫様とちひさき約束


ファーストフード店で軽くランチをとったあと、向かった先は去年できた大型ショッピングモール。
年末、クリスマス前の休日とあって、かなりの混雑だった。

「すごい人だねぇ・・・。」

そう言って辺りを見回していると、すっと横から肩を抱かれた。
もちろんそれはお兄ちゃんなわけで。

「えっ?」

お兄ちゃんを見ると、お兄ちゃんは前を向いたまま言った。

「余所見してるとぶつかる。」

「うん・・・。」

触れられたところからドキドキが体中に広がってきて、ひとりあわあわと慌ててしまう。
そんなあたしを知ってか知らずか、肩に置かれていた手は体から離れ、背中を掠めてあたしの右手を握った。

ますますびっくりしてお兄ちゃんを見上げると、

「迷子防止。」

とお兄ちゃんはニッと笑った。

お兄ちゃんと手を繋いだことなんてこれまで数え切れないほどあるのに。
今日のそれは今までとは全然違う気がして。

「迷子になるほど子どもじゃないよっ」

ドキドキがお兄ちゃんに伝わらないように、怒ったふりをしながら繋いだ手をぶんぶん振ってみた。
そんなあたしを笑いながら、お兄ちゃんは「コート、この前と違う。」と嬉しいことを言ってくれたから怒ってるふり終了。

「あ、気付いた?気付いた?これね、昨日パパとママがプレゼントしてくれたの!」

見て見て、と手を繋いだまま体を左右に振って、「似合う?」と聞けば、お兄ちゃんは「似合ってる」と優しく微笑んでくれたから、あたしはもっと嬉しくなった。

あたしの手を引いて少し前を歩くお兄ちゃんを見つめながら、あたしは心の中が「好き」でいっぱいになっていくのを感じた。