不意に鞄の中のスマホが音を鳴らし、ハッと我に返る。
すっかりアルバムに夢中になっていた。
時計を見ればもう12時はとっくに過ぎていて、ココアもすっかり冷めている。
お兄ちゃんから、「これから帰る」というメール。
それを見たら途端に嬉しくなって、急に胸がドキドキし始めた。
初めての約束のせいだろうか・・・お兄ちゃんに会うとき、こんなにドキドキすることはなかったのに。
あたし、ちゃんと気持ちを隠しておけるのかな・・・。
メール受信から20分。
玄関ドアが開く音がして、お兄ちゃんが「ただいま」と入ってきた。
待ち焦がれた人。
「おかえり。」
本当は飛びつきたいくらいだったけど、ぐっとこらえてソファに座ったまま笑いかけた。
「っ・・・」
あたしがいることは知っていたはずなのに、お兄ちゃんは驚いたように息をのんで一瞬立ち止まったかと思うと、目を逸らしてそのまま寝室へ入っていった。
「ちょっと、お兄ちゃん?」
追いかけてドアの前に立つと、すぐにそのドアは開いて
「う、うん。シャワーだけ浴びさせてくれ。すぐ、戻るから。」
と、立ち止まることなくまたあたしの前から消えた。
変なお兄ちゃん・・・?

