「今の電話、だあれ?」
さおりは、ついさっきまで「つまんなーい」と口を尖らせていたのに、今は目をキラキラさせてあたしの方へ身を乗り出す勢いで聞いてきた。
「え?誰って・・・」
言い淀むあたしにさおりは続ける。
「まゆの彼氏?電話で話してるまゆの顔がね、すごーく幸せそうだったの!絶対好きな人だって思ったんだけど・・・」
違う?と可愛い上目遣いで首を傾げる。
新田さんじゃなくてもこんな表情をされたら誰でもさおりを好きになっちゃいそうだなぁ。と苦笑いしながらあたしは答えた。
「うん、好きな人・・・まぁ、向こうは“妹”くらいにしか思ってないけどね。」
お兄ちゃんがただの幼なじみじゃなくて、好きな人だって気付いてからもうすぐ4年。
自由に会えるようになってから、あたしの気持ちはどんどん増すばかりで。
会いたくて会いに行っているのに、それを悟られないようにするのが難しくなってきているのも事実。
「へぇー年上なんだ?」
「うん、年上の幼なじみ。」
あたしは中断していたランチを再開させる。
「まゆの恋愛なんて今まで聞いたことなかったのに、そういう人がいたんだぁ!えー、もっと聞きたい聞きたいっ!」
さおりはランチよりも恋愛話の方が重要らしい。
でも。
「・・・これ以上話すことなんてないよ。あたしが勝手に好きなだけ。はい、おしまい。」
あたしは強制的にこの話を終わらせ、さおりにもランチの続きを促した。
さおりはまたも不満そうな表情を見せたけど、次々に席を立ち始めるカフェテリアの様子に慌てて動き出した。
もうすぐ昼休みが終わる。

