「む、無理ってなんだよっ!?」
あたしの返事が想定外だったらしい。目を見開いて身体ごとあたしの方に向く。
そのとき左手があたしの座るシートをガシッと掴んで揺らす。
・・・っ!び、びっくりしたぁ・・・
「だ、だから・・・無理、なの。お兄ちゃんに連絡はできない。」
「え、遠慮しなくてもいいんぞ?部屋にはいつ来たっていいんだって。」
拗ねているように聞こえたのか、お兄ちゃんは慌ててあたしを宥めようとする。
そんな姿、いつもは見られないからちょっと嬉しくなったり。
「だから、あたしもお兄ちゃんに連絡したいけど・・・」
「うん。だから、いつでもしていいって・・・」
そろそろちゃんと話そうか。
「あたしもお兄ちゃんに連絡したいけど、あたし、お兄ちゃんの連絡先、聞いてない。」
お兄ちゃんが就職をして家を出るまでは、常に隣に住んでいる人だったからわざわざ連絡するまでもなかった。
就職後は寂しかったけど、ママに「かずくん忙しそうだからあんまり甘え過ぎちゃだめ」って言われてたし、代わりに洋子おばさんにお兄ちゃん情報を聞くことで我慢していた。
今はまた、いつでも会えるし、急に連絡しなくちゃいけないこともなかったから連絡先のことなんてすっかり忘れてた。
今日ほど忘れていたことを後悔した日はないけど。
「ん・・・?えぇっ?」
お兄ちゃんは再び驚いた表情で前を向いたり、天井を仰いだりしながら色々考えている様子。

