あ。
お兄ちゃんのところまで行って、家まで送ってもらおう。
でも、今日って・・・?
頭の中にカレンダーを広げる。お兄ちゃんの勤務日は・・・今は三交代だって言ってた。
考え込んでいるあたしに、新田さんが「もしよかったら」と声を掛けた。
「加藤さんがイヤでなかったら、ウチにこない?」
「えっ?」
突然の申し出に理解が追いつかなくて、聞き返した声がちょっと大きくなってしまった。
「いや、オレの部屋、結構近いんだけどさ、さおりの服とかあるし・・・そのまま帰るよりは、と思ったんだけど・・・あ、疾しいことは考えてないからっ!うん!」
最後の言葉はあたしの反応に、慌てて付け加えたんだろう。
「あはっ。あたし、新田さんのこと信用してますよ?さおの大事な人だし。」
新田さんもあははと苦笑い。
でも一瞬で真顔になって信じられないことを口にした。
「あのさ、こんなときに言うことじゃないんだろうけど・・・実は、加藤さんに惹かれてるんだ・・・さおりのことはちゃんとするから、真剣に付き合ってくれない、かな?」
タイミングも内容もあまりに突然で開いた口が塞がらない。
だいたい、新田さんのことは「先輩」だとしか見ていないし、大事なさおりを悲しませるようなことはしたくない。
「あたし、新田さんのことは、」
「今すぐ返事しなくていいから、とりあえず、ウチへ行こう?着替えなくちゃ、ね?」
言いかけたあたしを遮って、小さく微笑んだ新田さんはあたしの手を取ろうとした。
「だ、大丈夫です。近くに知り合いがいますから、そこに行ってみます。」
「知り合い?」
あたしは新田さんにお辞儀をして逃げるようにカフェテリアをあとにした。

