お兄ちゃんの部屋に通うようになって半年。

この頃、やっと昔のような関係に戻れた気がする。
本当の兄妹のような、なんとも居心地のいい、そんな空気を感じる。

そんなことを考えながら、今日もお兄ちゃんの部屋に向かった。





インターフォンを押すと、トレーニングでもしていたのか汗を滴らせたお兄ちゃんがドアを開けた。

最初の頃はいちいち「今日はなんの用だ?」と部屋に入れるのを渋っていたけど、それももう過去。
今じゃ黙って中に入れてくれる。

「オレ、シャワー浴びてきてもいいか?」

そう言ってお兄ちゃんがバスルームに消えると、あたしは我が物顔で冷蔵庫を開けて、途中で買って来たコンビニプリンをしまい、代わりにペットボトルのお茶をグラスに入れてリビングのソファに座る。
テレビをつけてザッピングしていると、幼い頃に見ていた子ども番組が流れ懐かしさに見入ってしまった。

いつの間にかリビングに戻ったお兄ちゃんは、そんなあたしを「まだまだお子様だったか」と笑いながら冷蔵庫を開け、取りだしたミネラルウォータを片手にあたしの隣にどかりと座った。

まさに、どかり。
お兄ちゃん、社会人になってからまた身体が大きくなった気がする・・・。
大きくなったと言っても決して太ったわけではなくて。
180センチの長身にきれいに引き締まった身体、そこに筋肉が増長されたというか。
・・・いったいどんな仕事をしているんだろう?
聞いてもいつもはぐらかされるんだけど。

それに比べて、あたしはごくごく平均的。体型も顔も本当に普通。
胸はもう少し普通でも良かったのにな・・・と少々コンプレックス。

「まゆー、プリン、一個しかなかったんだけど?」

ミネラルウォーターをゴクゴク飲みながら、お兄ちゃんは濡れた髪をガシガシ拭いている。

「お兄ちゃん、買って来ても食べないじゃん。」

「うん、そうだった。」

ばかばかしいと思いながらも、あたしはこんな時間がたまらなく好きなのだ。