慌てて外へ飛び出すと、パパはお兄ちゃんの車に寄りかかって笑っていた。

パパの向かいに立つお兄ちゃんも同様。

なんとなく大変なことになっているんじゃないかと心配していたから、拍子抜けした。

二人並んでいると、ちょっと年の離れた兄弟でも通用しそう。・・・というのはさすがに言いすぎか。
でも、ママじゃないけど、パパもそれくらい若く見える。

おそるおそる二人に近づき、「パパ?」と声を掛けてみる。

「あ。どした?香奈が怒ってる?」

パパが戯ける横で、お兄ちゃんの顔は一気に引きつった。
そんなお兄ちゃんを横目で見つつ、パパはあたしの頭に手を置く。

「まゆ、カズのことはオレがとっちめといたからなー。さぁ、帰って飯メシ~。」

パパはあたしを回れ右させて、背中を押しながら家へ入ろうとする。

「滉志さん、手伝いありがとうございました。」

お兄ちゃんもそう言って車に乗ろうとする。
え?もう行っちゃうの?

「パパ、パパっ、ちょ、ちょっと待って!あたし、お兄ちゃんに謝ってくるから!」

「えー、いいよ。たまにはあいつも困ればいいんだよ。」

普段は息子みたいに可愛がっているくせに、時々意地悪なんだから。

「もうっ・・・先に入ってて。すぐ戻るから。」

「わかったよ。早く帰らないとまゆの分食べちゃうからなー。」

わかったから、と頷くあたしに、パパは「ごめんな」と呟いてあたしを解放した。
え?なにがごめん?と聞こうと思ったときには、パパはもう玄関前まで行っていて。
お兄ちゃんの車からもバタンとドアが閉まる音がした。
パパにはあとでまた聞いてみればいいか、とあたしはお兄ちゃんの車へ走り寄った。