「・・・恥ずかしい奴ら。」
かずくんも顔を赤らめながらそう言うと、あたしの手を引いてその場を離れようとした。あたしも一歩踏み出したら、それに気付いた都和さんが「待って」と呼び止める。
「まゆりちゃん、これ。」
そう言って都和さんは、今まで持っていたブーケをあたしに差し出した。
白いバラをメインに淡い色の花とパールの飾りでアレンジされたラウンドブーケ。
「いいんですか・・・?」
「まゆりちゃんにもらって欲しいの。いつか、まゆりちゃんとも『家族』になりたいから。」
紘明さんに解放されて、都和さんがあたしの手にブーケを握らせる。
ブーケと都和さんを交互に見ながら、あたしは小さく頷いてお礼を言った。
「ありがとうございます、都和さん。ひろさんも。」
都和さんの後ろに立つ人にも目を遣れば、初めて心からの温かい微笑みを返された。
後ろを振り返れば、かずくんも優しく微笑んでいる。
「新郎様、そろそろご挨拶のお時間です。」
いつの間にか近くにやって来ていたスタッフの方に声を掛けられ、主役の2人は促されるまま向きを変えた。
腕を組み、時々見つめ合って幸せそうに微笑みながらあるく2人の後ろ姿を、あたしもいつかはあの幸せを味わうことができるのだろうか、と見送る。
「真悠莉。」
隣に立つ大好きな人があたしの名前を呼ぶ。
そっと繋いだ手をギュッと握られた。
「いつか、ちゃんと、真悠莉のことをお姫様にするから。真悠莉のこと、一生オレが守るから。」
見上げた先には、まっすぐにあたしを見つめる笑顔。
あたしも手をギュッと握り返すと、大きく頷いてその腕に抱きついた。
【終わり】

