「はっ!?ちょ…離せよっ!」


夜斗はその手を外そうとするが、春希の怒りのこもった手が簡単には外れるはずがなかった。


すると、莉茉がそっと春希の腕に触れる。


「伊吹さん…!」


嬉しそうな顔をした春希に冷たい言葉がかけられた。


『夜斗をいじめないで』


「え…」


思わず、夜斗を掴んでいた手の力が緩む。

そのすきに、春希から距離を取る夜斗。


『大丈夫?夜斗』


「あぁ、生きてる。


春希、お前が何を考えているのか、知っているのかわかんねーけど…

知らないみたいだから言っとくぜ?

俺と莉茉、朝と帰り…今、一緒に登下校してんの。


だから、お前必要ない。



ってか莉茉に聞いたんだけど…そもそも莉茉のこと嫌いなんだろ?


だったら関わる必要なくね?
もう、俺が面倒みるから。

自分の彼女のこと、大切にしろよ」


そう言って莉茉を支えながら教室を後にする。