ゾクッ

莉奈 「・・・脅しですか?」

メルト「そんな事しませんよ。」

莉奈 「じゃあ、どうして無駄なんですか?」

メルト「何故って、警察には俺の姿が見えないからですよ。警察だけじゃない 貴女以外の人間には俺の姿
は見えてません。」

莉奈 「え、どうして?」

メルト「俺が死神だからです。回収対象者以外の人間には姿を見せてはいけないんです。」

莉奈 「そ・・・そんな。私 もう死ぬんですか?」

メルト「すぐには死にません。貴女は6時間後に死ぬ運命になってます。」




メルト「ハクさん、もしも回収対象者にいつ死ぬのか聞かれた場合どうすれば良いんですか?」

ハク 「その時は懐中時計の情報モードで知る事ができるよ
何月何日何曜日 何時何分何秒って詳しく 細かく教えてくれるよ。」


ピピピ

メルト「懐中時計から・・・ん?スマホからか?」

メルトは説明会の時に貰ったスマホを取り出して電源を入れた。画面には1通のメールが届いている。

開いて、内容を見る。

[メルト君へ どうやら長田莉奈さんと岡 雫さんは知り合いらしいです。なので今からそこに向かおうと思います。シグメ]

メルト「・・・長田莉奈さん、岡 雫さんってご存知ですか?」

莉奈 「 ・・・えぇ 知ってます。」


少ししてから、見覚えのある顔が見えた。

シグメ「メルト君、良かった ちゃんと会えて。」

メルト「シグメ君こそどうして会おうと?」

シグメ「それはー・・・。」

雫 「莉奈ちゃん!」

岡 雫は莉奈に駆け寄った。

莉奈 「雫・・・。なんでここにいるの?」

莉奈はキツめに言った。雫は少し怯えたが、息を吸って覚悟を決め莉奈に言った。

雫 「謝りに来たの・・・!」



莉奈 「え・・・。」

莉奈は動揺した態度をとった。

雫 「ずっと莉奈ちゃんに謝りたくって・・・。」

莉奈 「雫・・・ごめん。」

雫 「莉奈ちゃん ごめんね。」



メルト「それで どうしてシグメ君はこっちに来たの?」

少し離れた場所で莉奈と雫のやり取りを見ていたメルトが数分前の疑問をシグメにぶつけていた。

シグメ「雫さんは莉奈さんと喧嘩をして、まだ謝っていないんだって。
だから死ぬ前に莉奈さんに謝りたいって それが未練なんだって。だから雫さんを
連れてきた。」

メルト「そうなんだ・・・。」


雫 「シグメさーん!」

仲直りしたふたりが戻ってきた。

雫 「シグメさんのおかげで莉奈ちゃんと仲直り出来ました。ありがとうございました。」

莉奈 「ありがとうございました・・・。」

シグメ「仲直り出来て良かったです。」

雫 「でも、びっくりしました。シグメさんが私の心を読んでいなかったら莉奈ちゃんと
仲直り出来ませんでしたから。」

メルト「え・・・?」

シグメ「たいした事ないですよ。」

へらへらとシグメは笑っていたがメルトはパニック状態だった。

メルト (おかしい、能力の覚醒はまだ先のはずなのに・・・。)

シグメ「メルト君 どうかした?」

メルト「あ・・・なんでもないよ。」

メルトは笑った。 シグメは仲直りした2人に体を向けた。

シグメ「もう未練は無いですね?それではお2人の魂を回収させて頂きます。」

メルト「長田莉奈さんは俺が回収します。」

シグメ「雫さんは僕が。」


ガシャンッ!!

シグメとメルトの目の前で2人は落ちてきた看板の下敷きになった。

シグメ「あ・・・。」

シグメは目の前で2人の死を見て、恐怖に狩られた。思わずよろめいてしまう。

後ろに居たメルトがシグメを支えた。

メルト「おっと、シグメ君 大丈夫?」

震えているシグメにメルトは心配になった。死神になった以上 人の死に付き合わなければならない。

シグメ「う・・・うん、大丈夫・・・ だから。」

メルト「2人の魂を回収して早く行こう。悪魔が集まってくる。」

メルトは息絶えた長田莉奈の前に立ち 手を死体にかざした。

ポワン・・・

長田莉奈の身体から 白い光が浮き上がってきた。メルトは長田莉奈の魂を懐中時計におさめた。

メルト「シグメ君も回収して・・・。」


岡 雫の魂を回収し、2人は天界に帰った。