「乗れ」
裏門に着くとこの前より少し大きめの黒い車が止まっていた。
それに臆する事なく近づいて後ろのドアを開けた仁人は中に乗るようにと促す。
反対側から加賀と寛人が乗り込んでいるのが視界の端に映る。
どう考えてもこの状況から逃げられないことはわかってるけど、行き先も要件も伝えられないこの前みたいな展開に怒りが募る私は隣に立つ長身の仁人を睨み上げる。
が、そんなの御構い無しの奴はさっさと助手席へと乗り込んでいく。
そんな姿にイライラは募るばかりで思わず漏れてしまった舌打ちは
「サクラちゃん乗らないと俺が乗れない」
後ろにいた悠麻の声によって掻き消された。
はいはい乗ればいんでしょ乗れば。
彼奴らもそうだけどコイツらもなんで不良ってのはこんなにも強引なんだろうね。
私が思ってはいけないことなのかもしれないけど思わずにはいられない。
「で、今日の誘拐の目的は?」
「誘拐って…」私の隣で何故か苦笑いの寛人は放っておいて前回同様の態度で仁人に問いかければ前回同様楽しそうな笑い声が返ってきた。
笑い声って言っても鼻で笑われただけだけど。
「会わせたい奴がいる」
「私は会いたくないけどね」
「…大人しく乗ってろ」
私としては大人しく乗ってるつもりだったんだけど仁人にとってはそうじゃなかったみたい。
これ以上静かにしろってったってどうすりゃ良いのさ。
……とりあえず寝るか。
どうやら幾つもの視線を集めてる中寝れるほど図太い神経は持っていないけど、不良に囲まれて寝れるほどの図太い神経は持っていたみたいだ。
