紅〜kurenai〜









初めて、サクラにあった時は本当によく笑う子だった。



サクラが笑えば周りも笑って

サクラが泣けば周りが狼狽えて

サクラが怒れば周りが焦って

サクラが哀しめば周りも一緒に哀しんで




いつでもアイツは中心にいたんだ。




屈託のない笑顔で笑って。



どうしようもないほどダメな俺らの”光”だったんだ。








それなのに、いつからだろうか…。



アイツが笑わなくなったのは。泣かなくなったのは。



……––––喜怒哀楽を見せなくなったのは。






いや、違うか。





”見せなくなった”んじゃなくて”表し方を忘れてしまった”んだ。




そして、その頃からだ。



サクラの目に闇が広がったのは。






日に日に広がるそれにどうする事も出来ない自分の無力さを痛感していた時もあった。



それは今も変わらず痛いほどに感じいている。






サクラと再会したあの日。


怖くなった。



1年前にあった時よりも、更に深く。



「…漆黒、か」


漆黒の闇に覆われていたから。











「無事でいてくれ」




まだ、何も起こってすらいないのにそう願わずにはいられないんだ。