紅〜kurenai〜



「で、今日から来るっていう新任教師とやらはこのバカのこと?」



「ちょ、バカって…」とあからさまにショックを受けている奴はほっといて隣に立つ悪趣味の持ち主に尋ねる。




「そんなところだ」




…いや、どう見てもこの状況はそんなところでしかないだろ。


何が明日のお楽しみだ。ホントにやめてほしい。こっちにも準備ってものがあるんだ。






……知り合いだったら、尚更。






そんなことを匡ちゃんに言ったところで無駄なんだろうけど。




匡ちゃんを睨んでいたついでにその背後にある壁にかかっている時計に視線を流せば、そろそろ2限が終わる時間帯。



いつの間にそんな時間が過ぎたんだ…。



まあそんなのはどうでもよくて。



「んじゃ、行ってくる」



行くなら今しかない。



誰にもバレずにここから出るには今しかない。




それをわかっているのか、普段なら次の休みまでいろよと言い兼ねない匡ちゃんが黙って私を見送った。











何考えてんだか、知らないけど。






きっと匡ちゃん達の思うままにはならない。






教室に向かう途中静かな廊下に私の足音が響く中、そんなことを考えていた。