「結論から言うと、反対だ」
「…っ」
今までコイツらの言う事やる事には反論の意を示さなかった俺が初めて反対した事に驚いた様子の佐伯。
黒崎は顔には出さないものの、何故だと言うような視線の中に驚きが垣間見える。
きっと今回もスムーズに承諾が貰えると思ったんだろう。
……そんなこと思ってっと、いつか足元、掬われるぞ。
「相手は一般人だ。意味わかってんのかお前ら」
側から見れば、サクラは何も知らない純粋な一般人だ。
その一般人をそっちの世界に引きずり込む事がどれだけ危険な事であるのか。
巻き込んだ相手の人生を一生棒に振る事になるという事が。
それをお前らはわかってんのか?
ただ、傍に置きたいから。何ていうクソな理由じゃ俺もサクラも納得しねえぞ。
特にサクラはな。
だけど。
「俺に楯突く女は彼奴が初めてだ」
口角を上げ、絶ってぇ逃がさねえと言うような目をしたコイツに託してみたいとも思う。
コイツならサクラを救えんじゃねえかって。
「…川崎はどうなんだ?」
「俺は…」
まあ、それができんのも川崎次第だが。
いくら佐伯や黒崎がいいと言っても、コイツが嫌だと言ったらそれまでだ。
条件は”全員イエス”なんだから。
「俺は…見てから決めます」
だろうと思った。
ヤツの血を引いてるコイツが相手の顔も性格も見ずにいいと答えるわけがない。
佐伯よりもコイツのほうが十分慎重だよ。
相手を見極める眼を持っている。
