とりあえずそれは置いといて、先に目の前のほう片さねえと。
「で、用件はなんだ?」
なんだかんだで何時も俺を頼ってくるところは可愛いんだが、サクラとの時間を邪魔されるとそうもいかなくなる。
黒崎たちに向ける声が少々低くなるのを自分でも感じた。
それを俺が怒っていると感じ取ったのか顔を引き攣らす佐伯だが、相変わらず無表情の黒崎は真っ直ぐに俺を見ている。
「霜村サクラを獅子に入れる」
単刀直入に言うなこいつは。
その内容だとは思っていたけどここまではっきり言われるとはな。
もしサクラからこの話聞いてなかったらきっと平常心は保てていなかった。
「それを言って俺に何を求めるんだ?」
単刀直入に聞かれたならスパッと賛成か反対を言うべきかもしれないが、俺が聞きたいのはそんな事じゃない。
何でそれを俺に伝えるかだ。
そんなコイツらのやる事なす事にいちいち口出しするわけでもねえんだし、正直口出しするほど興味もねえから勝手にやってくれって感じだ。
それがサクラじゃなくて他の女だった場合だがな。
だが、俺がサクラと知り合いと言うことをコイツらは知らない。
知っていたならコイツらなら報告に来る。
「サクラを獅子に入れたいんだがいいか?」と了承を得に来るだろう。
じゃあ、なぜコイツらは俺とサクラの間柄を知らないのにそれを言いに来た?
「あの子を獅子に入れるって事は必然的に獅姫になります。学校側としてはどう思いますか?」
…要するに、転校してきたばっかの奴をそっちの世界に引きずり込んでもいいか?ってことか。
況してや、あんなクソ真面目な外見の子だ。
普段から、「やんちゃしてもいいけどこっちに迷惑かけんな。責任は自分で取れ」と生徒に言ってきた俺に一応確認とりたかったってわけか。
