–––––––––––パタン
ドアが閉まり、完全に足を踏み入れた仮眠室。
匡ちゃんの匂いとあの懐かしい香りが鼻を掠めたと思った次の瞬間にはもう、私の身体はその匂いに包まれていた。
ベッドの真横に置いてある物達。
匡ちゃんの一部であるもの。
わからなくもない。
あそこに置きたくなる気持ちが。
何よりも大切で大事な物達だから1番近くに置いておきたくなる。
手が届くように。手を伸ばせるように。
そして守れるように。
綺麗に整頓されて置かれているそれを見て笑みが溢れる。
「懐かしい……」
あの日から始めて心から落ち着ける場所に身を置いた気がする。
この懐かしい香りは、何よりも大好きな香りで
大ッ嫌いな香り。
だって……
–––––––––––貴方を思い出さずにはいられなくなる
–––––匡ちゃん、ごめんね…
