紅〜kurenai〜







どれどれ?と冒険ちっくな心情でキッチンに立ち入りそのまま突き当たりまで進む。



何かを隠すためにかけられたカーテンは、一見普通だ。


と言うのも、そこの裏にもう一つの部屋へとつながる扉があってそれを隠すためにカーテンがかけられているなんてきっと初めて入った人はそんなこと思いもしないだろう。




それほど、普通だった。

周りのデザインにうまく溶け込んでいた。





その裏に扉があることを疑ってしまうくらい。







まぁ、ここの住人である匡ちゃんが言うんだから間違いないんだけど。




シャッとカーテンを開ければ。




「あれ?」




そこはどこからどう見ても壁だった。




…匡ちゃんの事だ。

きっと少しいじれば……







ほら、きた。






現れた壁を少し押して左にスライドさせれば襖のように壁が開き、皆んながいつも見慣れてるやつと同じような扉が姿を現した。





鍵穴に鍵を差し込んでドアのロックを外せば。









思っていたよりも広いそこ、所謂仮眠室には全てが揃っていた。





仮眠室と言うくらいなんだからベッドはもちろんのこと、冷蔵庫やお風呂トイレ洗面所、表にあるキッチンよりかは心なしか小さいキッチン。


テーブルの前にはテレビとパソコンと書籍が入っている本棚。





全て揃っているそこは仮眠室と言うより最早家も同然だ。




「お金、かかってんねぇ〜」



水道代やら電気代やら。
こんだけ揃ってたら結構な額いくんじゃない?





作りに感心するより金銭面の方を感心するあたり頭のどこかではこんな感じの作りになっていることを想像していたのかもしれない。