紅〜kurenai〜



「で、なんで私が担任にキレられなきゃいけないのよ」


朝もなんか怒られたのか怒られてないのかわからないけど咎められたのにまだ他にあるっていうのか。



「生徒総会サボったから」



…またそれか。


「それならもう怒られてきたわよ」


仕方ないでしょ忘れてたんだから。
まず、こんな不良校なのに生徒会なんてあるのかよ。
そんで、不良とパンダ共が体育館に密集して何を話すっていうんだ。




「お前が全校生徒参加させろなんて言うから今年は例年より酷かったらしいぞ」


「…だったら全校生徒分の資料を作らすんじゃないよ」



思わず本音が溢れてしまう中、何がどう酷かったのかこれっぽっちもわからないけど、要するにその口振りからして匡ちゃんもサボったってことね。




「匡ちゃん」


「あ?」


「昨日、夕方あたりここに加賀が来なかった?」


「加賀って獅子のか?」


「それ以外に誰がいるんでしょうか」


「来てねえぞ」


「ふーん、そっか」


来てない、か。

なるほどね。てことは…


「加賀がどうした?」


「いや、昨日屋上に来たのよ」


張られているって事ね。

そう考えれば、昨日私が保健室じゃなくて屋上に居た事が悠麻たちに伝わってないことと辻褄が合う。

そりゃ、言えるわけないよね。

5日間までに全員認めさせるという条件を出しているのに、その出した張本人を尾行してるなんて。




「大丈夫なのかよ?」


心配そうな顔をする匡ちゃんを見て、今日は心配されてばっかだなと思わず笑ってしまった。


「なんだよ」


案の定、機嫌を損ねちゃったんだけどね。



「…勝算は変わらず80。強いて言うなら85%まで上がったかな」



あとは加賀の抗議の頑張り様にかかってるかな。



「それに…」


もし、ひっくり返されたとしても。


「それに?」



「いや、何でもないよ」






こんな”何もない”つまらない女にすぐに飽きるだろう。