紅〜kurenai〜




寝不足のせいもあって多少頭が痛いけど8割方サボりな私が保健室に行くわけもなく。




––––コンコンッ



「はい」



あ、今日はいるんだ。




中から声が聞こえてきたことにより中にいることを確認して扉を開ける。




「やほ」


「なんだ、サクラか」




理事長室にやってきた。




途中までは保健室に行こうかと考えてたけど、悠麻の事だ。
1限終わったら絶対に保健室に飛んで来るのが目に見えている。

別に嫌ではないけど、あまり関わりたくない。


だから、きっとそこに居るなんて思わないであろう理事長室にやってきた。




「紅茶切らしてるからコーヒーでいいか?」


「うん、大丈夫。ありがとう」


「今淹れてくるから適当に座ってろ」



私があまりコーヒーを飲まないのを知っている匡ちゃんは少し申し訳なさそうな顔をして、見ていた書類を片手に奥の扉の先にある給湯室へと消えて行った。


コーヒーが飲めないってわけじゃないのに、紅茶を切らしているとあの人達はみんな申し訳なさそうな顔をするんだ。



仕事の邪魔しちゃ悪いからいいよと言ってもきっと匡ちゃんは淹れに行くだろうから、何も言わずに言われた通り適当に大人しく近くのソファーに腰掛けた。







この前乗った車といい連れて行かれた倉庫にあったソファーといいこれといい、なんでこんなにふわふわなソファーなんだろう。




いっそのこと教室にある椅子もこんな感じにふわふわのソファーにしちゃえばいいのに。

そしたら快適に寝れるし起きた時も腰が痛くならないし。


今度、匡ちゃんに頼んでみようかな。


まあ即答却下を頂くのは目に見えているけど。