紅〜kurenai〜




「で、鈴ちゃん。何でサクラちゃんにそんなストーカー紛いなこと聞いたの?」



一通り話が済んだのか結構な時差で話が元に戻った。



てか、1限始まってますけど……。

数学の先生来ないじゃん。




…。ああ。そういや数学の担当ってこの目の前にいるオヤジだったね。




チラリと周りを見渡せば、困ってる人…ーーはいない。

寧ろ、みんなキラキラした目でこちらを見てる。




担任と悠麻の会話のどこにキラキラ要素があるのか私には到底理解できない。




「おい、霜村。聞いてんのか?」


「…聞いてます聞いてます」


「じゃあ、全校生徒出席させろと言った張本人のお前が昨日の生徒総会を休んでどこにいたんだ?」



全校生徒出席させろ…?

生徒総会…?



「何の…ーーーー」



ああ、思い出した。一昨日、このハゲに1人で生徒総会の資料を作らされたんだった。

その後の出来事の方がインパクトでかすぎてスッカリ忘れてたよそんな事。



良かった、”ことですか?”を言う前に思い出せて。




「具合悪かったので保健室で寝てました」




悠麻みたいに素直に屋上で寝てました何て言えるわけもない。



が。

言った後から気づいたけど、屋上で会ってしまった彼が悠麻達にそれを言ってたとしたら、保健室で寝てましたなんて咄嗟に思いついた嘘だってバレてしまう。




「そうだったの?体調大丈夫?」



一瞬にして冷や汗が身体を流れた私と裏腹に
本気で心配してきてくれるあたり、皆んなには知らせてなかったんだと分かり安堵のため息が零れた。




「もう平気なのか?」


案外私の体調を気遣ってくれる鈴ちゃんに少し心が痛い。



「…保健室行ってきます」



とか思いつつもそう言っている自分がいて、きっと彼奴らが聞いたら呆れるだろうな。