「おい」
夕焼けの空を無心に見上げていたら、不意に声をかけられそれを辿って後ろを振り返る。
「…っ」
振り向いた先にいた予想外の人物に驚くが、そいつの目を見て理解できた。
なんでここに居るのかが。
「目的はなんだ?」
–––彼の目がそう言っている。
「何を企んでいる」
彼の口からも私を拒絶する言葉が吐き出された。
そんな拒絶の言葉に傷つくほど仲良くもない私と彼の間柄。
そしてその間柄はこれからも親しくなることはないであろというのに、敵対心剥き出しの彼に笑ってしまいそうになる。
込み上げてくる笑いを堪え普通に考えれば解ることを、頭に血が昇って冷静な判断に欠けている彼に教えてあげる。
「''此処''に来たのはつい最近だって言わなかった?ここら辺の土地感ですら全くないのに貴方の言う目的なんてあるわけないでしょう?」
「……ッ」
頑張ってみたけど込み上げてくる笑いを堪えきれず、うっすらと笑いながら言う私を更に睨む。
まあ確かに、疑うのも無理ないか。
目的なんてものはないっていってるのに、こんなに意味深な顔で薄笑いしてるんだから。
「知りたいのなら、………貴方の上の人に聞いてみなさいよ」
どちらかと言うと、って言うより完璧私は被害者側であるんだから。
「それに、そんなに敵対心を剥き出しにしなくても大丈夫よ。少なくとも私は、貴方と同じ意見なんだから」
逆に貴方が私と反対の意見を持ち合わせてると困るのよ。
此処にいる時点でそれはないと言えるんだけど。
貴方が私を拒絶してくれないと私の計画が崩れてしまうんだから。
